PAC-MAN 40th ANNIVERSARY COLLABORATION JOIN THE PAC INTERVIEW PAC-MAN 40th ANNIVERSARY COLLABORATION JOIN THE PAC INTERVIEW

「パックマン」が生誕40周年を迎える2020年、「Join the PAC “仲間に加わろう”」をテーマに、ワールドワイドに様々な楽しいコラボレイトが展開されます。
このサイトでは、パックマンサウンドをモチーフに制作された新曲を収録した、『パックマン』40周年公式アニバーサリー・コンピレーションアルバム『JOIN THE PAC - PAC-MAN 40th ANNIVERSARY MUSIC ALBUM -』に参加するアーティスト達の対談によるスペシャル・インタビューを掲載します!

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KEN ISHII ×パソコン音楽クラブ
パックマンが繋いだ、'90sテクノゴッドと新世代DTMユニットによる初のテクノ談義!
YMO、ビデオゲーム、シンセサイザーなど、世代を超えて見えてくる両者の共通項とは?

インタビュー:遅澤 淳(U/M/A/A Inc.)  
テキスト・編集:ローリング内沢
2020.5.22 Fri.

2019年11月27日、前作より13年ぶりとなるアルバム『Mobius Strip』(メビウス・ストリップ)をリリースした"東洋のテクノゴッド"こと、KEN ISHII。'90年代に世界的な盛り上がりを見せたテクノ・クラブカルチャーにおいて、日本と世界を繋ぐアイコンとして本格的に海外で評価された、まさに"逆輸入アーティストのパイオニア"である。
かたや2015年に若干20歳で結成。いまや忘れ去られてしまったような'80〜'90年代のDTM音源モジュールやデジタルシンセサイザーを用いた楽曲と、時代を迷わす センスとユルさで独自の世界観を発信し続けている、柴田 碧と西山真登によるDTMユニット、パソコン音楽クラブ。
そんな2組のアーティストによる初対談が実現!
一見、まったく異なる時代感やアプローチを持つ、KEN ISHIIとパソコン音楽クラブだが、『パックマン』および、テクノミュージックの魅力が世代を超えて受け継がれていることがわかる貴重なトークが繰り広げられた。

『パックマン』サウンドは、すべてが使いたくなるような音でした(KEN)

ー 『パックマン』40周年記念コンピレーションアルバムへのご参加、ありがとうございます。まずは、『パックマン』サウンドを使って楽曲を制作してみた印象はいかがでしたか?

KEN ISHII:楽曲制作にあたり『パックマン』のオリジナル音源を多数頂いたのですが、それらが"すべて使いたくなるような音"なんですよ。僕にとっては子どものころから馴染みのある音ですから、その音を"触れる"喜びみたいなものは大きかったです。"できるだけ全部の音を使ってやろう"という感じでしたね(笑)。今回は、『JOIN THE PAC』と『Infiltrate The PAC』の2曲を提供させていただいたのですが、とくに『JOIN THE PAC』に関しては、"『パックマン』のコーヒーブレイクの曲"以外は、いただいた音源をもれなく使っています。

柴田:僕らは、ゲームの曲をパラデータというかたちでいただいたのが今回初めてだったのですが、どれも"曲を作りたくなるような音色"で、これなら"一気に曲が出来るな"という感じでした。

西山:音源データを聞いたときに、"『パックマン』と言えばこの音!"というような馴染みの音源が盛りだくさんで、とてもワクワクしたのを覚えています。柴田くんと同じく"一気に作れるな"という感じはありましたね。ちなみに、"使うのならこの音"というチョイスも早かったですし、今回提供させていただいた曲には、いただいた音源の8割ほどは使っていると思います。

ー 『パックマン』サウンドは、素材として扱いやすかったですか?

柴田:かなり扱いやすかったです。ただ、チューニングが一般的な440Hzではないっぽいんですよね。たぶん、ちょっと高いですよね。それがすごい面白かったといいますか、あまり使ったことのないピッチでしたので、逆に初めて触る楽器で曲を作ってるみたいで楽しかったです。ちなみに、KENさんの曲は、ちょっとピッチを上げて使っていません?

KEN ISHII:うん。ちょっとだけ上げたり下げたりとか、微妙にオリジナル音源をイジって、曲として自然に聞こえるように調整してます。

あ、アドリブじゃなくて演技指導なんですか!(笑)(西山)

― 現在すでに、"パックマン40周年テーマトラック"『JOIN THE PAC』のミュージックビデオが公開されていますが、KENさん、撮影はいかがでした?

KEN ISHII:映像を見てもらうとわかるのですが、とても大規模な撮影でした。まず、DJやダンサー、お客さんなど出演者が多く、また、ステージのセットも、このミュージックビデオのためだけに作られていまして、スタジオに入ってみて、その規模感に驚きましたね。さらに、児玉(裕一)監督がすごいエネルギッシュで、そんな彼の明るいノリに全体が引っ張られる感じで、すごくワイワイした楽しい撮影現場でした。

― '80年代のさまざまなカルチャーがふんだんに盛り込まれた映像になってますよね。

KEN ISHII:ええ、そんななか僕は、片隅でゲームを遊んでいる"ゲーマー役"として出演しています。実際に出ているのは数秒なんですけど、演技指導がかなり入りまして、ゲーム筐体にコインを入れるシーンは、多分30回くらいリテイクを繰り返してます。ワンモーションでコインが、なかなかいい感じに投入口に入らないんですよ(笑)。
また、「『パックマン』をふつうに遊ぶのではなく、DJをやるように音楽にノリながらジョイスティックを動かしてください」など、そういう演技指導もありました。ちなみに、ミュージックビデオ内で着ている"パックマン"が描かれた革ジャンは、僕の身体に合わせて作っていただいた特注品です。ただ衣装なので、撮影後はそのままお返ししましたけど。

― パソコン音楽クラブは、『JOIN THE PAC』のミュージックビデオを見てどのような感想を持ちました?

西山:やっぱりKENさんの登場シーンに注目してしまいますね。KENさんがゲームをプレイしている、そのワクワク感や楽しさみたいなものが、出演者全員の動きに表れているような感じがして見ていて楽しかったです。しかも、最後にゲームオーバーになって、ゲームの筐体をコツンと叩いて、もう1回コインを入れるシーンはとてもリアルでしたし、僕もそういう経験があるなと。

KEN ISHII:あれもちゃんと演技指導入ってるから(笑)。

西山:あ、アドリブじゃなくて演技指導なんですか!(笑)

KEN ISHII:きちんと何回もリハーサルやったうえでやってるから(笑)。

西山:そうなんですね!(笑)

プレイヤー視点ではなく、あえて"パックマン"視点の曲を作ろう、と(柴田)

― KENさんには、『JOIN THE PAC』とは別にもう1曲、『Infiltrate The PAC』という曲でご参加いただいていますが、こちらは『JOIN THE PAC』とは対極的なアプローチとなっていますよね?

KEN ISHII:そうですね。『JOIN THE PAC』は、"パックマン40周年テーマトラック"ということで、ストレートに分かりやすい明るさ一辺倒みたいな曲に仕上げています。
対する『Infiltrate The PAC』は、もう少し違うアプローチといいますか、さらにもうちょっと『パックマン』サウンドを解体する感じといいますか、そんなことをやってみたいなと思ったんです。

― ちなみに、"Infiltrate(インフィルトレート)"とは、浸透・侵入・潜入といったような意味ですよね?

KEN ISHII:そう。だから、(音の)なかに入り込んで、内側から解体するというような、そういう感じのイメージで作りました。

― そして、パソコン音楽クラブの『EAT&RUN』は、かなりクラブ仕様なテクノトラックに仕上がっていますが、どのようなイメージで制作されたのですか?

柴田:"パックマン"が迷路のなかを走りながらクッキーを食べる感じをイメージしています。めちゃめちゃ安直なテーマなんですけど、「プレイヤー視点ではなく、あえて"パックマン"視点の曲を作ろう」というのを西山くんと話し合ったんです。ステージを俯瞰するのではない感じというか。
そこで、"パックマン"が迷路を走り回る感じの焦燥感を出せたらと思い、効果音がどんどん鳴り続けるみたいな感じの曲に仕上げました。

西山:KENさんの『JOIN THE PAC』を初めて聞いたときに、プレイヤーが『パックマン』を遊んでいるときのワクワク感がすごい伝わってきたんです。
とはいえ、個人的にはあまり『パックマン』が上手ではなく、ステージをクリアーするまで必死でジョイスティックを操作するという、いい意味での焦りやハラハラ感というイメージを曲で表現できればと思って制作しました。

― 今回、KENさんの曲と同時配信されるということで、テクノやクラブな感じを意識した部分もあるのですか?

柴田:意識して、というより無意識的にそういった部分はあったかもしれないです。"ゲームの効果音を使った音楽"のイメージで言うと、それこそKENさんが以前に手掛けられた『スペースインベーダー』の曲<『SPACE INVADERS 2003』(KEN ISHII vs FLR)>がありますけど、この曲がけっこう頭のなかにありまして、作っていたときはあまり意識しませんでしたが、いま聞くと、そこから無意識的に着想を得ていた感じもありますね。

"曲を聞けばKEN ISHIIの曲だとわかる"という部分が素晴らしい(西山)

― お互いの楽曲を聞いた印象・感想をお伺いしたいのですが、まずはKENさん、いかがですか? パソコン音楽クラブの『EAT&RUN』を聞いてみて?

KEN ISHII:ストレートなクラブトラックで、とてもよかったです。僕の『JOIN THE PAC』もイメージとしてはクラブっぽい曲なんですけど、どちらかというとクラブでかかる曲という感じではないと思うんです。そういう意味では、DJがクラブでプレイできるような感じがよかったですね。曲制作における思想的なものも含めて好きですね。

柴田西山:ありがとうございます!

― パソコン音楽クラブは、KENさんの『JOIN THE PAC』および『Infiltrate The PAC』を聞いてみて、どのような感想を持ちました?

西山:アーティスト名を聞かなくても、"曲を聞けばKEN ISHIIの曲だとわかる"という部分が素晴らしいと思うんです。すぐに「KENさんの曲だ!」と伝わってきました。また、実際に"リアルタイムで『パックマン』を遊んだ人が作った曲"といいますか、当時の楽しさやワクワク感、空気感といったものまでが感じられる曲だなと思いました。

柴田:そうなんです。曲を聞いてすぐ「KENさんの曲だ」とわかりますし、また、曲を上手くまとめ上げるバランスが本当にすごくて、僕たちには到底できないなと思いました。

― なお、KENさんはリアルタイムで『パックマン』を遊んでいたのですよね?

KEN ISHII:ええ。当時のことは鮮明に覚えていますけど、僕がよく通っていたのは、バッティングセンターにゲーム機が並んでいるようなところ。テーブル筐体のうえに100円玉を積み上げた大人がずっとプレイしていて、それを見ながら1〜2時間待っているみたいな、そんな光景を覚えています。
『パックマン』は、それまでに流行っていた他のゲームとはちょっと違っていて、ビジュアルもすごくカラフルで、キャラクターとしてもすごく明るいイメージだったのが印象的でしたね。インパクトもありましたし。

― パソコン音楽クラブのおふたりは、弱冠20代ということもあり、世代的にもオリジナルのゲームというよりは、キャラクターアイコン的なイメージのほうが強いのでしょうか?

柴田:そうですね、グッズやファッションなど、そっちのほうが印象が強いかもしれないですね。『パックマン』のキャラクターがプリントされたTシャツなどを着てる人を街なかでもちょくちょく見かけますし。「あのTシャツのデザインは、『パックマン』のオリジナル筐体のデザインなのか」といったように、後から一致するようなこともけっこうあったので。

西山:僕は、アーケードで遊んだことはないんですけど、たしかゲームボーイかゲームボーイアドバンスだったか移植版で遊んだ記憶があります。また、KENさんがおっしゃるとおり、とてもポップなキャラクターなのは印象的ですよね。

KEN ISHII:今年(2020年)で、40周年ですよね。たとえば家電とかだったら40年前のものは、その当時ならではの見た目だけど、『パックマン』のロゴやキャラクターって、いま見ても、そんなに古いものに見えないんだよね。

西山:そうですよね!

KEN ISHII:普遍的で、いつの時代に誰が見てもかわいいというか、明るくポップな感じ、というものを持っていますよね。

いつもとは異なるお客さんに曲が届く、という意味でも、非常にやりがいがある(KEN)

― ゲームやゲームミュージック、またそこから派生するカルチャーなど、自身の活動や曲制作において何か影響を与えていますか?

KEN ISHII:そうですね。キャリアをスタートしてからこれまで、ポイントポイントで多くのゲームミュージックやリミックスなどを手掛けてきました。聞いてくれるお客さんが異なるので、ふだんの曲作りとは違う頭の使い方をしながら制作するのですが、それが刺激にもなりますし、またいつもとは異なるお客さんに曲が届く、という意味でも、非常にやりがいがあるんですよね。

柴田:僕は、それこそバンダイナムコエンターテインメントさんで言えば、『塊魂』とか、『ルミネス』の音楽が好きでした。
とくに『ルミネスII』は、KENさんが楽曲を提供していて、当時はテクノといっても、電気グルーヴやYMOぐらいしか知らなかったので、「こんな音楽があるんだ!」って……それこそさきほどKENさんがおっしゃられていた、"届かない層にも届く"という部分で、モロに影響を受けた側なんですよね。

西山:僕も『塊魂』はとても好きですね。他にバンダイナムコエンターテインメントさんの作品でいえば、とくに印象に残っているのは、『ことばのパズル もじぴったん』というゲームですね。「♪ぴったん、たんた、もじぴったん」っていうテーマソングをはじめ、他の曲もすごくいい曲が多くて、いま聞いても素晴らしいんですよね。

それまで童謡ばっかりだったのに、急に聞いたことのないリズムやハーモニーの曲が流れてきて(柴田)

― 音楽的な根底に通づるものとして、双方に"テクノミュージック"があると思いますが、ご自身がテクノに目覚めたきっかけや、意識したタイミングは?

KEN ISHII:いまでもハッキリ覚えてます。小学生3〜4年生のころ、友だちの家に遊びにいったときに、友だちのお兄ちゃんが「面白いレコードがあるよ」ってかけてくれたのが、YMOの『Computer Game "Theme From The Circus"』でした。そこから音楽を能動的に聞くようになったんですよね。
両親が音楽を聞くような家庭でもなかったので、家にラジカセすらもなかったんです。なのでラジカセを買ってもらって、YMOを入口にして、そこからさまざまなエレクトロニックミュージックを聞くようになったんです。

柴田:うちはそれこそ、親がYMOの直撃世代だったので、カセットテープに録音したYMOのファーストアルバムとかをカーステレオで流していたんです。なかでも、ベタですが『東風(Tong poo) 』にやられまして。たしか小学校に上がるまえだったと思うのですが、それまで童謡ばっかりだったのに、急に聞いたことのないリズムやハーモニーの曲が流れてきて、「なんだこれは?」と一気に興味を持ったんです。「どうやらシンセサイザーっていう機械で演奏してるらしい」というのを知って、そこから"シンセサイザーを使った音楽"に興味を持ち始めたのがきっかけですね。

西山:僕は"テクノの原体験"というと、すごい語弊があるかもしれないのですが、そもそもギターが好きでロックよく聞いていたんです。そこからプログレッシブバンドの曲を聞くようになり、同級生に勧められた"YES"(イギリスのロックバンド)の『Owner Of A Lonely Heart 』という曲に、トレヴァー・ホーンがプロデュースで入っていたんですよ。オーケストラヒットがすごく特徴的な曲なんですけど、オーケストラヒットを明確に聞いたのは多分その曲が初めてで、テクノというよりも、そういう打ち込みの音色っていうのをものすごく意識させられた曲だったんです。
そこからさらに、The Art of Noise(イギリスのエレクトロニックミュージックユニット)など、そういう打ち込みで作られているエレクトロニックサウンドにどんどん興味が湧いていったんですよね。

『Jelly Tones』は大好きなアルバムなんです(西山)

― 双方がふだん制作されている楽曲の印象をお伺いしたいのですが、パソコン音楽クラブは、KENさんのアルバム『Jelly Tones』(1995年)がリリースされた当時は、まだ生まれたばかりですよね?

柴田:ええ、もちろんリアルタイムでなく後追いで聞きました。知ったきっかけは、マンガ『NARUTO -ナルト-』の作者が単行本に、KENさんの話(『EXTRA』のミュージックビデオの話)を書いていて、それで『Jelly Tones』を知って聞いてみたんです。とはいえ、まず何の音が鳴っているのかぜんぜんわからなくて、シンセサイザーらしい音でもないし、民族楽器でもないし、「これは何なんだろう?」というのがものすごく頭を駆け巡って……。
鳴っているハーモニーも聞いたことのないものばかりでしたし。音楽雑誌などではデトロイトテクノっていう言葉で表現されたりもしていたんですけど、それとは明らかに一線を画しているというか、ぜんぜん違う。初めて聞く音でしたので、それが本当に衝撃的でしたね。

― ちなみに、KENさん、当時の制作環境は?

KEN ISHII:いまと比べるとシンプルなものでしたよ。基本的にはローランドのJD-800をメインにしつつ、あとリズムトラックとかちょっとしたものは同じくローランドのサンプラーS-330を使ってました。それをKAWAIのQ-80っていうシーケンサーで走らせてたんですよね。ミキサーもティアックの小さいやつだったかな。
だから最初のプリマスターとか、すごく音が悪くて(笑)。覚えているのが、当時のレーベルであるR&Sに、「曲はいいので、すべてこれでいこう。ただ音が悪いからもう1回録音し直してくれ」って言われて、結局2回くらい送り直したんですよ(笑)。

― パソコン音楽クラブは、"80〜"90年代の音源モジュールやデジタルシンセサイザーを愛用していますよね?

西山:そうです。なので、『Jelly Tones』は大好きなアルバムなんです。さきほど柴田くんが言ったとおり、最初にこのアルバムを聞いたときは、どんな楽器を使っているのか、そこまでちゃんとわからなかったんですけど、自分たちが当時の機材にはまるようになってから、あらためて『Jelly Tones』を聞くと、自分たちが使っているのと同じような機材が使われていることに気づいて、とても勉強になるんですよね。

KEN ISHII:当時、とくに日本では、テクノは一般的ではなかったので、曲作りの参考となる文献や資料がほとんどなかったんですよ。だから、自分の懐具合と相談して買える機材を買う、っていうだけの話で、機材を選べる環境にもなかった。「これだったら買えるかな」という機材を買って試してみて……逆に無学というか、何も知らなかったから、自分流に作った結果なんですよね。

― では、KENさんにお伺いしますが、パソコン音楽クラブのサウンドはどのような印象をお持ちですか?

KEN ISHII:アルバムを聞かせてもらったんですけど、「本来テクノってこういうものだったな」という印象を受けました。"テクノ"って、単なる土台みたいなもので、本当はその上にいろんなものを乗っけていいと思うんだけど、そういう意味でパソコン音楽クラブは、ボーカルものも上手く作れるし、クラブっぽいものも作れる、またそれぞれの曲にはきちんと耳に残るフレーズがあったりもするので、素晴らしいなと思います。

柴田西山:うれしいです。ありがとうございます!

ゲームを軸に音楽を聞いてもらう、というスタイルがあってもいいと思う(KEN)

― みなさんは、ゲームとテクノの関係性や親和性については、どのように感じていますか?

KEN ISHII:コンピューターゲームにはエレクトロニックな音が合う、というのは、周知の事実ですし、これからもゲームは基本的にはずっと、つねにエレクトロニックな音楽と繋がっていくんじゃないかなと思っています。とくに若い世代はそうかもしれないのですが、むかしに比べて、能動的に音楽を聞く人は少なくなっている印象もあります。それでもみんな、ゲームは能動的に遊ぶと思うんですよ。
だから、"ゲームにおんぶにだっこ"じゃないですが、ゲームを軸に音楽を聞いてもらう、というスタイルがあってもいいと思うんです。音楽的にもそのときそのときの流行りがありますが、"よりゲームきっかけ"みたいなものが増えていくんじゃないかなという気がしています。
また最近は、ギターやベースを触るよりも、DJをやりたい、っていう若い人も増えてきましたよね。そういう意味では、ゲームを入り口にして、クラブミュージックやエレクトロニックミュージックに触れる機会が増えればいいなとも思います。

西山:日本ってどうしても歌モノに比べると、インストゥメンタルを能動的に聞く人は少ないのかな、とは思っていて、でもゲームのBGMとか、ゲームのサントラで印象に残っている曲はものすごく多いんですよね。身近にそういう歌ナシの音楽があるっていうのはゲームならではといいますか。ぜひ僕らもゲームのBGMをやらせてもらいたいなと思っているんですけどね(笑)。

― 最後になりますが、あなたにとって『パックマン』とはどのような存在でしょうか?

KEN ISHII:"永遠のビデオゲームクラシック"っていう感じですかね。40年経ってもこれだけ広がりがあるコンテンツってなかなかないですし、すごいことですよね。

西山:僕らにとっては、"ずっと近未来"という存在でしょうか。KENさんのおっしゃる通り、広がりはもちろんのこと、古さをまったく感じさせないんですよね。当然、40年前にリリースしたときも、"まったく新しいゲーム"、"未来のもの"というイメージがあったと思うのですが、それがずっといままで続いている感じがするのは驚きですよね。

― ありがとうございました!
(※2020年5月11日(月) ビデオ通話にて収録)

プロフィール

  • KEN ISHII

    アーティスト、DJ、プロデューサー、リミキサーとして幅広く活動し、1年の半分近い時間をヨーロッパ、アジア、北/南アメリカ、オセアニア等、海外でのDJで過ごす。‘93年、ベルギーのレーベル「R&S」からデビュー。
    イギリス音楽誌「NME」のテクノチャートでNo.1を獲得、’96年には「JellyTones」からのシングル「Extra」のビデオクリップ(映画「AKIRA」の作画監督/森本晃司監督作品)が、イギリスの“MTV DANCE VIDEO OF THEYEAR”を受賞。
    ’98年、長野オリンピック・テーマインターナショナル版を作曲し、世界70カ国以上でオンエア。2000年アメリカのニュース週刊誌「Newsweek」で表紙を飾る。’04年、スペイン・イビサ島で開催の“DJAWARDS”でBEST TECHNO DJを受賞し、名実共に世界一を獲得。’05年には「愛・地球博」で政府が主催する瀬戸日本館の音楽を担当。2017年にはNINTENDO SWITCH Presentationに出演。全世界配信され、数百万人の人達がDJ PLAYを目の当たりにした。更にはベルギーで行われている世界最高峰のビッグフェスティバル「Tomorrowland」に出演も果たす。
    2019年11月、13年振りとなるオリジナルアルバム「Möbius Strip」(メビウス・ストリップ)をリリース。2020年のPAC-MAN40周年を記念した公式テーマソング「JOIN THE PAC」を制作。

  • パソコン音楽クラブ

    2015年結成。"DTMの新時代が到来する!"をテーマに、ローランドSCシリーズやヤマハMUシリーズなど80~90年代の音源モジュールやデジタルシンセサイザーを用いた音楽を構築。2017年に配信作品『PARKCITY』を発表。他アーティスト作品への参加やリミックス、演奏会を重ねながら、ラフォーレ原宿グランバザールのTV-CMソング、TVドラマ『電影少女」の劇伴制作、アニメ「ポケットモンスター」のEDテーマ制作などを手がける。2018年に自身ら初となるフィジカル作『DREAM WALK』、2019年9月4日にセカンドアルバム『Night Flow』、12月8日に『Night Flow Remixes』をリリース。『Night Flow』はCDショップ大賞2020入賞作品に選出。

リリース情報

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