PAC-MAN 40th ANNIVERSARY COLLABORATION JOIN THE PAC INTERVIEW PAC-MAN 40th ANNIVERSARY COLLABORATION JOIN THE PAC INTERVIEW

「パックマン」が生誕40周年を迎える2020年、「Join the PAC “仲間に加わろう”」をテーマに、ワールドワイドに様々な楽しいコラボレイトが展開されます。
このサイトでは、パックマンサウンドをモチーフに制作された新曲を収録した、『パックマン』40周年公式アニバーサリー・コンピレーションアルバム『JOIN THE PAC - PAC-MAN 40th ANNIVERSARY MUSIC ALBUM -』に参加するアーティスト達の対談によるスペシャル・インタビューを掲載します!

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Buffalo Daughter × DiAN
日本から世界へ!ワールドワイドに活躍する2組のバンドによる初対談!中国の妖怪話から、ゲーム音楽作りのバイト話までその話題の矛先は"パックマン"のように縦横無尽に駆け巡る!?

インタビュー:遅澤 淳(U/M/A/A Inc.)  
テキスト・編集:ローリング内沢
2020.7.24 Fri.

1993年に結成。その3年後には、ビースティ・ボーイズが主催するレーベル"Grand Royal"と契約し、活動の場を日本から世界へと移した、シュガー吉永、大野由美子、山本ムーグによるバンド、Buffalo Daughter(バッファロー・ドーター)。
2006年には、雑誌『ニューズウィーク日本版』の"世界が尊敬する日本人100人"に選ばれるなど、その動向は国内外問わず注目を集め、現在もアメリカ、ヨーロッパをはじめ、ロシア、アジア各国などで精力的にライブ活動を行っている。
かたや、DiAN(ディアン)は、靜電場朔(せいでんばさく)、A-bee、immiの3人による音楽ユニットだ。
ボーカルを務める靜電場朔は北京出身のポップアーティストとしても活躍。"weibo"(中国の最大SNS)にて60万人のフォロワーを持つ注目のインフルエンサーでもある。
そんな彼女は、2012年に拠点を北京から東京に移しつつ、中国と日本をボーダーレスに交差しながら、さまざまなクリエイティブ活動を展開している。
今回の"スペシャル・インタビューVol.3"では、そんな、ワールドワイドに活動する2組のバンド(ユニット)による初対談が実現。
世界を意識した楽曲制作のこだわりや、女性アーティスト視点から見た『パックマン』の印象など、さまざまなお話を伺った。

じつは私、かなりのゲーマーなんです(吉永)

ー 『パックマン』40周年記念コンピレーションアルバムへのご参加、ありがとうございます。今回のお二組は、「日本国外での活動を中心にされてきたバンド(ユニット)」、そして「女性ボーカル」という部分での共通点があり、そのあたりも含めた話をお伺いできればと思っています。まずは今回、さまざまな『パックマン』サウンドを使ってみて、ふだんの楽曲制作と比べていかがでしたか?

大野由美子(以下、大野):いただいた『パックマン』サウンドをサンプリングして、キーボードに設定するところから作業を始めたのですが、その行程がバッファロー・ドーターのいちばん最初のアルバムを作っているときにそっくりで昔を思い出しました。
当時、ローランドのS-50という、サンプラー付きキーボードを使っていたのですが、そのS-50にリハーサル時の音などをサンプリングして、それを鍵盤で弾いてトラックを作ったりもしていたんですよ。

ー 自分たちの音を録って、それで遊ぶような感じですか? バンドでジャムセッションをするのではなく?

大野:カセットテープに録音したジャムセッションの音をサンプリングして、その音でトラックを作るというようなことをやってました。

ー なるほど。それはとても面白い作業工程ですね。続いて、吉永さんは?

シュガー吉永(以下、吉永):じつは私、かなりのゲーマーなんです。
小学生のころからゲームが大好きで、もちろんアーケード版の『パックマン』もリアルタイムで遊んでます。ですから、"ゲーム音楽"も好きなんですよね。
今回のコンピレーションアルバムのオファーをいただいたときは、まさに「やったー!」という気持ちでした(笑)。当時のナムコのゲームのサウンドって、本当に素晴らしいと思うんです。
コーヒーブレイクのメロディーを聞けば、すぐに「あ、『パックマン』の音だ!」とわかるシグネチャー感も含めて、とてもキャッチ―な音なんですよね。
たとえ、『パックマン』を遊んだことがなくても、「『パックマン』の音は知ってる」人も多いと思います。"そんな音を自由に使っていい"なんて、まさに「こんなステキな話があるんだ」という感じでした(笑)。
いまは、スマホでもタブレットでも、『パックマン』を遊べるじゃないですか。ですから、今回、あらためて『パックマン』をひさしぶりにプレイして、「あー、こういう感じだったよね」と、当時を思い出しながら曲を制作しました。

ー 曲制作のアイデアは、いっぱい出てきました?

吉永:「頭をひねってアイデアを考える」というよりも、「『パックマン』を遊びながら作ってしまおう」というノリでしたね。
先にコンセプトなどを考えるのではなく、まずは『パックマン』をプレイして、「あー『パックマン』ってこうだったよね」、「では、こういう風に音を入れましょう」みたいな感じで作っていたんです。まるで子どもがはしゃぐような感じで(笑)。
"ゲーム好き"の感覚としては、『パックマン』からあんまりかけ離れすぎている音楽を提示しても、ゲームファンにはピンとこない気がしたんです。
ですから、まずは実際に『パックマン』を遊びつつ、その楽しさをあらためて肌で感じて、楽曲制作を手掛ければ、ゲームファンはもちろん、ゲームをやったことのない人にもその魅力が届くんじゃないかなって。

大野:そう、今回はそのような手順で制作したのですが、ただ私は『パックマン』というゲームそのものは知ってはいたんですけど、きちんと遊んだことがなかったんです。
ですから、今回この企画をいただいてから、吉永といっしょに『パックマン』で遊んで、そのプレイした感覚を曲に落とし込んでいったんです。

ー なるほど。そして、DiANの朔ちゃんはいかがでしたか? 『パックマン』サウンドをいろいろと使ってみて。

靜電場朔(以下、朔):"パックマン"というキャラクターは、とても抽象的で、みんながそれぞれのイメージを持っているキャラクターだと思います。
"パックマン"って、何者かわからないじゃないですか。黄色の生き物なのか、それとも何かの比喩なのか、人それぞれの印象があると思います。
ゲーム内での"パックマン"は、迷路のなかを突き進み何でも食べちゃう存在ですけど、それが中国の神話に出てくる妖怪、"饕餮(中国語で「タオティー」、日本語だと「とうてつ」)"にとても似ているんです。
"饕餮"は、何でも食べてしまう"大食い妖怪"です。中国語には「饕餮盛宴(タオティーシュンギェン)」という、日本語に訳すと「食いしん坊のごちそう」という意味の言葉もあるくらい(笑)。
そのようなイメージの流れから、『パックマン』の迷路は、私から見ると"人体の消化器官"に似ていると感じたんです。ですから、(キャラクターの)"パックマン"は、もしかしたら人の体のなかにいる生き物(?)なのかもしれません。
さらに、「食べる」も、「遊ぶ」も、その「行為を楽しむ」という点においては共通していて、そこからいろいろな感情が生まれてきますよね。
そのようなアイデアをもとに、想像を膨らませて歌詞を書きました。

A-bee:そして僕のほうでは、いま朔ちゃんが言ったようなアイデアをベースに、どのような曲調にしたいかを伺って、そこから楽曲の形を作っていきました。
あらかじめ『パックマン』サウンドの素材をたくさん頂いていましたので、それらをカットアップしたり、ピッチベンドしたりしながら、リミックス的な感覚で構築していったんです。

私のような『パックマン』初心者でも、楽しめるような曲にしたかった(大野)

― バッファロー・ドーターの楽曲『Dots in the Maze』は、インストゥルメンタルではなくボーカル曲となっていますが、どのようなイメージから?

大野:最初はインストで進めていたのですが、なんかパッとしなかったといいますか(笑)。
そこで、歌詞を入れたほうが、もっと面白くなって曲全体のイメージも膨らむかな、と思いボーカルを入れてみたんです。
ちょうどそのころって新型コロナウイルスが流行り始めていた時期でしたから、ウイルスを"パックマン"に食べて(消して)もらいたい気持ちもあったんですよね(笑)。
そこで、歌を入れたほうが、そんな"パックマン"の可愛くも力強いイメージに近づけることができるかな、と思ったんです。
最初は、ラップとは言わないまでも、単語をしゃべっているくらいにしていたんですけど、それだとやっぱり愛想がないですから、サッとその場でメロディをつけてみたんです。

吉永:ちなみに歌詞は、私が『パックマン』を遊びながら書きました(笑)。ゲームをしながら、思い付いたことを書いていった感じです。
比較的、直球なワードではあるのですが、とにかく聞き手には『パックマン』というゲームをストレートに想像してほしかったんです。もちろん『パックマン』をやったことのない人にも。
『パックマン』は、ゲームの場面場面でさまざまな音が流れますよね? ゲーム中の音はもちろん、コーヒーブレイクのときの音とか。
「こういう音が流れてきたら、『パックマン』ではこういうゲームの場面になるんだよ」というのを、曲のなかできちんと表現して、これまで『パックマン』をプレイしたことがない人でも、「『パックマン』ってこういうゲームなんだ」というのを感じられるようにしたかったんです。

大野:そう、私のような『パックマン』初心者でも、楽しめるような曲にしたかったんですよ。
ちなみに、今回、吉永に教えてもらったのですが、"パックマン"以外のキャラクターに名前がついてたのがビックリしたんですよね。

吉永:知らない人はそう思うんですよね。でもゲーム好きなら常識ですよね(笑)。
大野が全然知らないので、「知らないの? このキャラはね……」みたいに、『パックマン』のことを教えながら曲作りをしていったんです。
ちなみに、今回の曲の歌詞にはゴースト4体の名前を入れているのですが、『パックマン』がデビューした当時は、和名と英名でその呼び名が異なったんですよね。【※注1】
今回はあえて和名の、アカベエ(赤)、アオスケ(水色)、ピンキー(ピンク)、グズタ(オレンジ)の名前で、歌詞に盛り込んでいます。

【※注1:現在は全世界共通で英名の、ブリンキー(赤)、インキー(水色)、ピンキー(ピンク)、クライド(オレンジ)に統一されている】

中国語で『パックマン』は「豆を食う者」という意味です(朔)

― 対する、DiANは『饕餮 TAOTIE(喰いしん坊)』というタイトルの曲ですが、こちらの歌詞のイメージは?

:さきほども少しお話しましたが、『パックマン』は、中国の妖怪"饕餮"に似ていると感じたんです。何でも食べてしまうところや、(食べるために)前に突き進んでいく感じとか。そのようなイメージをベースに、いろいろと言葉遊びをして歌詞を作っていきました。
『パックマン』という存在は、レトロゲームの枠を飛び出して、世間一般的にはライフスタイルの一部になっていたりもしますよね。みんなの生活に溶け込んでいて、とてもナチュラルなものだと思います。
そのようなことも含めて、今回は、『パックマン』というゲーム、そしてキャラクターなどについて、本当に深く考えて歌詞を作りました。

ー ちなみに中国語では、"パックマン"はどのように発音・表記するのですか?

:中国語では、「吃豆人(チュウタオウヤン)」と言います。「豆を食う者」という意味です。
中国語の"人"は、英語の"MAN"に意味合いが近く、"ヒューマン(人間)"というよりは、どちらかというと"者"とか、"適任者"とか、そういうニュアンスですね。

ー 今回、『饕餮 TAOTIE(喰いしん坊)』では、"feat.(フィーチャリング)"として中国のラッパー"小老虎(J-Fever)"さんが参加されていますが、どのようないきさつで?

:J-Feverさんは、私が大学時代にとても好きだった"tomtom"というバンドのボーカルでした。
私が通っていた大学、"中国伝媒大学"では多くの学生がバンド活動をしていて、私も複数のバンドに参加していました。
"tomtom"は、大学内で行われていたライブイベントで初めて見たのですが、当時は、学内でさまざまなイベントがあり、他の学校のバンドもよくうちの大学に来て演奏していたので、そのときは"tomtom"が同じ学校のバンドだとは思わなかったんですよ。
のちに共通の友だちから紹介されてJ-Feverさんと知り合ったのですが、まさかの同じ大学の先輩だったんです(笑)。
なお、J-Feverさんは、詩人みたいな音楽スタイルで、歌詞がロマンチックなんです。中国の他のラッパーは歌詞に攻撃的なメッセージが多かったりもするのですが、J-Feverさんのリリックはとても優しくて感情的な表現が多くて、個人的には大好きなんです。

ところどころに中華風の音を入れて遊んでみました(A-bee)

― バッファロー・ドーターの『Dots in the Maze』は、ループするベースラインのうえに、幻想的な楽器や、さまざまな『パックマン』サウンドが被さってきますが、音作りでこだわったのはどのような部分ですか?

大野:ループ音をベースにして、その上で何かしらの音が変わっていったほうが、ゲームをしているような感覚があるかなと思って、このような構成にしてみたんです。

吉永:今回のコンピレーションアルバムは、"ダンス&パーティー"という、裏テーマが設定されているんですよね。
みなさん、このテーマを軸に楽曲を制作されたと思うのですが、「『パックマン』でダンス&パーティー」というと、やはりゲームがモチーフですしエレクトロニックミュージック系のイメージになりやすいのですが、私たちはあえてそちらに寄らず、バッファロー・ドーターのバンドサウンドならではのミニマルさやテクノ感を出したんです。

ー 一方でDiANの『饕餮 TAOTIE(喰いしん坊)』は、かなり細かく切り刻まれた『パックマン』サウンドの再構築だと思います。ヒップホップ的ビーツが複雑に絡み合う、オリエンタルなメロディと、かなり作り込まれたサウンド、という印象なんですけど、制作においてこだわった点は?

A-bee:ヒップホップ要素は、さきほど朔ちゃんがお話したとおり、彼女のアイデアをもとにしています。そこに、僕が好きなエレクトロニカの要素を盛り込みました。
また中国人の朔ちゃんと、日本人の僕そしてimmi、3人のコラボということで、そこらへんのバランスが面白く出るように、ところどころに中華風の音をいれるなどして遊んでみました(笑)。
また、細かい作業が好きなので、カットアップなどはとことんやりましたね。
じつは、歌録りまではすごいラフな曲調で、コードとリズムだけのシンプルなものだったのですが、歌とラップを入れたあとに、いろいろ足したり引いたりして一気に仕上げた感じです

ゲーム音楽を作るアルバイトをしていたことがあって(笑)(大野)

― お互いの楽曲を聞いた印象はいかがでしたか?

大野:本当に細かく、すごいディテールにこだわっている楽曲だな、という印象でした。その反面、私たちは大雑把だなと思って(笑)。

A-bee:ありがとうございます!

吉永:最新の音楽だな、という感じがしたよね。

大野:そうそう。私たちは、ずっとスタイルを変えずにやっているので、ある意味、時代に逆行しているんだろうなと思いながら(笑)。

A-bee:いえいえ、全然そんなことないです!

吉永:本当は「こういうスタイルの曲もやってみたいんだけどな」って思いながら聞いていました(笑)。
さきほど、「細かい作業が好き」とおっしゃってましたけど、あの作業はかなり大変ですよ。その大変さがわかるので、より「すごいな!」と感じるんですよね。
カットアップって、どこを切りとってどこを使うか、というのが重要じゃないですか。
やっぱりそこが、ちゃんとツボにはまってるものと、そうではないものがあると思うのですが、DiANさんの曲は、そのバランスがとてもいいトラックだなと思いましたね。

A-bee:ありがとうございます!

ー 逆に朔ちゃんと、A-Beeさんは、バッファロー・ドーターの曲を聞いた感想は?

:もちろんバッファロー・ドーターさんの曲は、これまでにたくさん聞いたことがありますが、今回もそれらと同じで、楽曲からすごく力が感じられました。
それと『パックマン』に対しての愛も盛り込まれていて、力強さのなかにも可愛さがあるような曲でした。

吉永:ありがとうございます。

A-bee:DiANとは正反対、真逆のアプローチですよね。まさにさまざまなものを削ぎ落したシンプルイズベストな感じといいますか。
音の隙間とか、間を活かしてあって、ひとつひとつの音がしっかりと聞こえつつも、太く聞かせる構成が本当にカッコイイです。
僕もこういうスタイルの曲を作ってみたいんですけどね。
バッファロー・ドーターさんはひとつひとつ、ハイハットの「チッ」という音もきちんと聞かせて音の存在感を大事にしている感じが素晴らしいんですよ。

大野:ありがとうございます。
余談ですが、昔のゲームの音って、かなりシンプルで音数や音色も少なくて、限られたなかで曲作りをしないといけなかったんですよね。
じつはバッファロー・ドーターとしてデビューするまえに、パソコンのゲーム音楽を作るアルバイトをしていたことがあって(笑)、そのときの作り方を意識しながら、今回、楽曲制作をした部分もあるんですよね。そのバイトは、吉永さんといっしょにやってたよね。

吉永:そうなんです。私、ゲームをするのも好きだったんですけど、ゲーム音楽も作っていまして(笑)。

A-bee:え、そうだったんですか!

吉永:当時のパソコンのゲーム音楽って、4音しか使えなかったんですよ。

大野:そうだった、そうだった!(笑)

吉永:音源チップの制限上、4音だけだったんですよ。メロディ、バッキング、ベースライン、あとドラムですよね。

A-bee:なるほど。確かに『Dots in the Maze』は、そういう感じの曲になっていますよね、無駄なものが一切ないというか。

大野:そう。限られた音数・音色のなかで、どうやって面白く聞かせるか、ということは、当時のゲーム音楽制作のバイトからいろいろ教わりましたね。

A-bee:使える音数や音色が少なくても、すべての音が立体的に聞こえますよね。

大野:音が「べたー」って聞こえちゃうと、もうゲームしたくなくなっちゃうでしょ?(笑)

吉永:細かいテクニック的な話をすると、4ラインしか使えないんですけど、1ラインは絶対にドラムでキープなんですよ。
残りの3ラインを使って、メロディラインを構築するのですが、メロディラインもずっと入っているわけではなく、休む場所があるじゃないですか。
その休む瞬間、この3ラインにバッキングで和音を入れたりするんです。
だからリズムとの関係(休む場所の隙間など)を考えながら曲を作るんですよ。だからそういう意味では、ゲームみたいな感じなんですよね、曲作り自体が(笑)。

A-bee:なるほど!

『パックマン』は、日本の誇りでもありますよね(吉永)

― 女性から見た、『パックマン』像をお伺いしたいのですが、ゲーム性やキャラクターだけではなく、『パックマン』のグッズやファッションなども含めて、どのような印象をお持ちですか?

大野:私は、ふだんあんまりゲームをしないので、あくまでもキャラクターとしての観点でお話しますと、"パックマン"というキャラクターはデザイン的にもバランスが取れていて、完璧に出来上がっていますよね。クールな反面、ゆるキャラ的な可愛さもありますし。

吉永:そう。40年前のゲームですけど、『パックマン』は、いま見てもデザインとして完成されていますよね。ゲームのロゴも含めて。
さらに、ゲーム以外の各種グッズやアパレルなどにも『パックマン』のキャラクターがたくさん使われていて、そういう意味ではゲームを遊んだことがなくても、"パックマン"は知っている、このロゴは見たことある、という人も多いと思います。
デザインとしても、キャラクターアイコンとしても確立されている。
しかもそれが当時、海外でも人気だった、っていうのも嬉しいですよね。
ゲームとしても面白い、サウンドもすばらしい、キャラクターも洗練されている。『パックマン』は、ある意味、日本の誇りでもありますよね。

ー たしかに。それでは同じく、女性の朔ちゃんから見た『パックマン』像は?

:どちらかといえば、ゲームというよりは、キャラクターアイコンとしての"パックマン"という印象のほうが大きいかもしれません。
ちなみに、中国でも"パックマン"は、誰もが知っているキャラクターです。
昨年(2019年)、上海に期間限定で"パックマン カフェ&バー"もオープンしていました。
日本のゲームや音楽、サブカルチャーは、中国の若者たちにも浸透しています。
とくに'80~'90年代生まれの中国の若者は、日本の平成生まれ世代と共通した体験や思い出を多く持っていると思います。

ー なお、『パックマン』は日本で生まれながら、アメリカでもかなり人気が出ました。そういう意味では、日本でデビューしてアメリカで人気を獲得したという、バッファロー・ドーターと共通する部分があると思うのですが?

吉永:でも、たぶん『パックマン』の開発者も、最初は「これはアメリカで受ける!」と思って作っていなかったと思うんですよね。私たちもとくに、「アメリカで受けるだろう」と思って曲作りはしていなかったです。
"気がついたら世界の人々が知ってくれていた"という感じでしょうか。
バッファロー・ドーターのデビュー当時は、下北沢の小さなライブハウスで演奏していました。私たちの音楽を好きな人たちが集まって、小さなサークルのなかで活動する感じだったんです。
そんななか、ふと、もしかしたらアメリカの小さなライブハウスでも、このぐらいの人数のお客さんだったら、私たちの音楽を好きになってくれる人もいるんじゃないかな、と思ったんですよ。
そこで、「じゃあちょっとアメリカに行ってみようか」という感じで遠征したら、驚くほど多くの人たちに受け入れられたんですよね。
そもそも『パックマン』は大メジャーですから、私たちとは比べものにはならないと思いますが、当時、そういう小さいスモールサークル・オブ・フレンズが世界中にけっこう点在しているんだな、っていうのを確認できた感じはありましたよね。

ー なるほど。また、A-Beeさんはソロとしても活動なさっていますが、日本の音楽が世界で認められるように:、音作りで意識している部分ってありますか?

A-bee:さまざまな曲を聞いたり、情報をインプットしたり、いろいろと勉強はしていますが、特別"日本に向けに、海外に向けに"という部分は、あまり意識していないですね。
ただ、曲を作るにあたっては、「自分がわくわくするもの」、「テンション上がるもの」という点は大事にしつつ、自分がカッコイイと思えば、それでいいかな、と思っています。
誰かに向けてというよりは、自分に向けて作っている部分が大きいかもしれません。

『パックマン』はエバーグリーンです(吉永)

― 最後になりますが、あなたにとって『パックマン』とはどのような存在でしょうか?

大野:いま、ゲームって本当にいろいろなものがありますけれども、『パックマン』のシンプルさといいますか、人間味溢れる感じといいますか、そのアナログ感が好きですね。まるで、アナログシンセを触るときのような感覚といいますか。

ー ゲームのプログラム自体はデジタルですが、たしかに『パックマン』という存在には、アナログ的な心地よさも感じますよね。では、吉永さんは?

吉永:ひと言で表すならば、"私のゲーム魂"ですかね。
『パックマン』をはじめとする'80年初頭のゲームは、どれもいま遊んでもワクワクしますし、まさにエバーグリーンですよ。
いまプレイしても古臭く感じないというか、シンプルで面白いですし、ルールも単純で誰でもがすぐにハマれますからね。

:私は、"パックマン"は自分に近しいものだと感じています。
私自身、黄色という色が大好きですし、そのうえ走り出したら止まらないタイプで、いろんな美味しいものや、面白いものを吸収している。そういう意味で"パックマン"と似ているかもしれないです。

ー 最後、A-Beeさんは?

A-bee:"人類におけるレジェンド"ですかね。地球上に生まれた以上、『パックマン』を知らない人は、ほぼいないと思うんですよね。ゲームをプレイしたことがない人はいたとしても、その名前や容姿くらいはみんな知っていると思うんです。
まさに歴史上に残るゲームです。今回、そんな作品の企画に参加できたのが、とても嬉しいです。

― ありがとうございました!
(※2020年7月7日(火) ビデオ通話にて収録)

プロフィール

  • Buffalo Daughter

    シュガー吉永 (g, vo, tb-303) 大野由美子 (b, vo, electronics) 山本ムーグ (turntable,vo) 1993年結成。雑誌『米国音楽』が主催したインディー・レーベル、Cardinal Recordsより発売した『Shaggy Head Dressers』、『Amoebae Sound System』の2枚がたちまちソールドアウト。ルシャス・ジャクソン東京公演でメンバーに音源を渡した事がきっかけで1996年にビースティ・ボーイズが主催するレーベルGrand Royalと契約。同年1stアルバム『Captain Vapour Athletes』(Grand Royal/東芝EMI)を発表、アメリカ主要都市のツアーも行い、活動の場は東京から世界へ。1998年に発表した2ndアルバム『New Rock』(Grand Royal/東芝EMI)では、アメリカ・ツアーの車移動の際に見た同じ景色の連続とジャーマンロックの反復感にインスパイアされた内容となり、大きな反響を得て瞬く間に時代のマスターピースに。その後もアメリカ中を車で何周も回る長いツアー、ヨーロッパ各都市でのツアーも行い、ライブバンドとして大きな評価を得る。2001年『I』(Emperor Norton Records/東芝EMI)発売した後、2003年『Pshychic』、2006年『Euphorica』は共にV2 Recordsよりワールドワイド・ディールで発売される。2006年には、雑誌『ニューズウィーク日本版』の”世界が尊敬する日本人100人”に選ばれるなど、その動向は国内外問わず注目を集めている。2010年夏、自らのレーベル”Buffalo Ranch”を設立。ゲスト・ドラマーに松下敦を迎え、前作より約4年ぶりとなるアルバム『The Weapons Of Math Destruction』を発表。2013年、結成20年周年を記念し初のベスト盤『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffallo Daughter』を発表。このアルバムは過去の音源のみならず、新録、カバー、ライブ音源、リミックスを収録。新しいベストの形を提示。また東京/大阪のギャラリーでバンドの歴史を辿る展示も開催した。2014年夏に7枚目となるアルバム『Konjac-tion』(日U/M/A/A, 仏Modulor)をリリース。アメリカ、UK/フランス、ロシア、日本、アジアツアーと、精力的にライブ活動を行っている。

  • DiAN (静電場朔, A-bee, immi)

    Vocal,Lyrics,Art Directionを担う静電場朔<セイデンバサク>と、Sound ProducerであるA-bee<アービー>、Composer,Lyrics,Chorusのimmi<イミー>による音楽ユニット。DiANのアイコンでもある静電場朔は、中国・北京に生まれ、アメリカ・ヨーロッパ・中東・アフリカといった様々な異種文化に深く影響を受けながら、放送やメディアに関する中国の最⾼高学府である中国伝媒⼤大学(National Communication University of China)卒業後、東京に拠点を移し、デザインや映像など様々なコンテンツを手がけるマルチクリエイターであり、"weibo"(中国の最大SNS)では60万人以上のフォロワーを持つ注目のインフルエンサーでもある。A-beeは、クラブミュージックからJ-POP、アニメ、ゲーム、CM、ラジオ、など様々なシーンで活躍し、エレクトロニックミュージックをベースにしながら、叙情的でありつつ緻密に計算された独特の構築音楽を作るサウンドプロデューサー。immiは、シンガーソングライターとしてメジャーレーベルや国内外での活動を経て現在はコンポーザーとして様々な楽曲提供を行っている。日本と中国で育まれたサブカルチャーと類稀なる才能が融合し、アジアから世界へ発信するあらたなるポップカルチャーや音楽スタイルを体現していく。

リリース情報

  • INTERVIEW Vol.1 INTERVIEW Vol.1
  • INTERVIEW Vol.2 INTERVIEW Vol.2
  • INTERVIEW Vol.3 INTERVIEW Vol.3